……あいつ、どうして。
ボールを拾い上げた俺は、眉をひそめた。
「どんな映画だったの?」
「えっと、去年話題になった恋愛映画だよ」
胸がざわついた。
気づいてしまった。あいつが吐いた嘘に。
去年三年生が引退したあの時と同じ嘘だ。
横目に見えた桃葉の目は、あの時以上に真っ赤だった。
何に泣いたんだろう。誰を想って泣いたんだろう。
もしかして、昨日俺が送ったメールを見て……?
「まさか、な」
なわけ、ねぇよ。
期待する分、傷つくだけだ。
……またあいつは、隠れて泣いたんだ。
その事実が、俺の心臓を刺激した。
ただただ、苦しさにもがいていた。



