件名:大好きな君へ




桃葉と橘の会話を盗み聞きしながら、ボールをセットする。


朝練が始まる前、最後のシュートだ。



「千、はよ。相変わらず、熱心だな~」



近くで、碧が眠そうにしながらそう言ってきたが、無視をする。



「何かあった?大丈夫?」


「あはは、大丈夫大丈夫!」



シュートに集中、集中、集中……。ブツブツと、頭の中で呟く。


あいつの声なんて、気にするな。




「昨日見た映画に感動しちゃってさ」




桃葉の聞き覚えのある言葉に急かされたように、シュートを打っていた。


ガコンッ、とリングに当たったボールが、ネット内を通り抜けるはずもなく。


最後のシュートは決まらずに、ボールは落ちていき、床とぶつかり大きく飛び跳ねた。



しまった。力みすぎちまった。


力んだ原因は、わかっていた。