件名:大好きな君へ





桜の相談に、私は何もアドバイスできなかった。けれど、瑛美と桜の熱い気持ちが痛いくらい伝わってきた。


物語の世界では味わえないリアルな恋心に、胸がギュッと縮こまった。



誰かに恋をしたら、私にも瑛美や桜みたいな恋慕が芽生えるんだよね?


そうしたら、私も、二人みたいにキラキラして見えるのかな。




「……で?」


「え?」


「桃葉は?好きな人いないの?」



ニヤニヤとしながら聞いてきた瑛美に、あははと笑ってごまかす。

手持無沙汰で、カフェオレを飲むしかなかった。あー、美味しい!



「えっ、桃葉も好きな人いるの?」


「いないいない!」



あからさまなごまかしに何を勘違いしたのか、桜がやや驚いたせいで、つい否定してしまった。



うっ、しまった。


言わないでおこうと思ってたんだけどな。



「やっぱりね~」



ほら、そうやって瑛美がバカにする態度を取ると予測してたから、好きな人がいないってことは黙っておこうとしたのに……!