用具室からボールの入ったかごを取り出し、早速、日課となっている朝練前のシュート練習を始める。
明日は練習試合があるからか、気合いが入る。
一本目――ボールから手を放した瞬間、決まると確信した。
「っし」
見事リングを通り抜けたボールに、思わずガッツポーズ。
最近では、3ポイントシュートが決まる確率が高くなってきていた。
その変化に気づき、嬉しくなる。
7時30分近くになって、体育館に人が集まってくる。
……今日は、あいつ遅ぇな。
目だけで桃葉の姿を探すが、やはりいない。
いつもなら、もうとっくに来てんのに。
「あ、桃葉!おはよ」
扉付近から橘の朝から元気な声が聞こえてきて、あいつが来たことを知った。
「……おはよう」
「ど、どうしたの!?目腫れてるけど」



