自分の気持ちに戸惑って、芽生えた感情に気づかないまま、俺は桃葉を無意識のうちに見ていた。
おそらく、もうその時には―――。
耳元でけたたましく鳴る目覚ましの音で、目を覚ました。
「……ん、」
もう朝か。
懐かしく感じる夢を、見ていたような。
……どんな夢だっけ。
思い出せねぇ。
目をこすりながら、欠伸をする。
学校へ行く支度をしながら、見ていた夢の余韻にひたっていた。
学校に着き、朝練のため体育館へ向かう。
まだ誰もいない朝の体育館は、好きだ。
静かで澄んでいる空気と、窓から差し込む朝の光が、俺を包む。



