『頑張れよ』なんて、ひどい言葉だ。
もう既に限界を超えるくらい頑張ってる人に対して、俺が選んだエールの言葉は、一番ダメなやつだった。
無理すんなよ、とか。
お疲れ、とか。
いつも助かってる、とか。
エールとは呼べなくても、もっといい言葉があったはずだ。
こんなに自分の言葉ひとつに、自信がなくなって、悶々と悩むのは初めてだ。
それなのに。
桃葉は、微笑んでくれた。
お礼を言ってくれた。
そのことが、嬉しかった。
もっと俺が大人で、優しかったら。
『俺の前では泣いてもいいから』とか、『無理して笑うんじゃねぇよ』とか、言えたのだろうか。
少しでも、あいつの支えになりたくて、溜め込んだ涙を拭ってやりたくて。
そんなことを考える俺は、多分、ちょっと変なんだと思う。



