件名:大好きな君へ






「ねぇ、桃葉、瑛美」


「ん?」

「何?」


「……やっぱり、忘れた方がいいのかな?」



ポツリ、と呟かれた声が、足元へと落ちていく。


桜の寂しげな瞳は、ひどく繊細に揺れていた。



「“初恋は叶わないもの”ってよく言うじゃん?私、初恋を忘れた方がいいのかなって、最近悩み始めちゃって……」


「そんなの、自分次第だよ!」



桜の弱音を吹き飛ばすように、瑛美は声を大にして訴えかける。



「初恋でもそうじゃなくても、恋って自分がどうするかで変わっていくんだよ」


「瑛美……」


「それにさ、今も忘れられないくらいの想いって、そう簡単に消せないよ」



なぜかとても説得力がある言葉だらけだった。思わず、桜と同じく、私まで固まってしまう。


数秒目をパチクリとさせていた桜は、柔らかく表情をほころばせた。



「ありがとう、瑛美。私……忘れずに、初恋の人と再会できる日を待ってみようと思う」



そう決心した眼差しは、強く、真っ直ぐだった。