近くなったり、遠くなったり。
距離感がつかめなくて、もどかしくなる。
千への想いが詰まった器には、小さなヒビが入ってしまった。
「うあ、っ」
涙が一適また一適と流れていく度、涙ぐんで震えた声が出なくなる。
その代わりにと言っているかのように、大粒になっていく涙の温度が1度下がった気がした。
嗚咽する声をもらしながら、無理して微笑んだ。
――やっぱり、君は優しいね。
普通なら《大嫌い》と書かれたメールを送ってきた人を嫌いになって、その人からのメールなんて二度と見ないのに、千はちゃんとメールを見てくれた。
無視すればいいのに、メールを開かなければいいのに、返信をくれた。
メールの内容は最悪なものだったけど、無愛想で素っ気ないメールだったけど、《ありがとう》に対しての返事をくれた。
こんな時にも君の優しさを見つけてしまう私は、重症だね。
好きすぎて、苦しいよ。