初めて千からメールが届いたのに、ちっとも嬉しくない。
ずっと溜め込んでいた苦しみが噴火したように、目尻から静かに涙がこぼれた。
「うっ、……ふぇ」
止めどなく溢れる涙が、頬を撫でる。
ポタリポタリと、携帯の画面の上に涙が落ちた。
今日だけは、声を上げて泣いてもいいかな。
今まで堪えていた分も、全て吐き出してしまってもいいのかな。
涙が出なくなるまで、枯れてしまうまで、一人きりで。
私が恋を知る前、瑛美が言っていた言葉を思い出した。
『なんかさ、遠いんだよね』
あの時はどういう意味なのかさっぱりわからなくて首を傾げたっけ。
でも、今ならよくわかる。
大好きな人が、遥か遠いところにいるみたい。
まるで手を伸ばしても届きそうにないくらい、遠い。