件名:大好きな君へ






――昼休み。


お昼ご飯を食べる前に理科のノートを集めようと、私は昼休みを知らせるチャイムが鳴り授業が終わってすぐに、教壇のところでクラスメイトに声をかけた。



「ノート集めまーす」



クラスメイトが続々ノートを持ってくる。


その中に、千はいなかった。



「はい、俺と千の分」


「千のやつ、要をパシリやがって。あ、これ、俺のよろしく」


「……ありがと」



芹沢と矢崎がノートを教壇に置く。


矢崎が千の分まで持ってきてくれた。


三冊分のノートが、積み上がる。



もしかして、千は私に近づかないように、矢崎にノートを頼んだのかな?



ズキ、と小さな痛みが胸を襲う。


私の中に千への恋愛感情がなければ、こんなに苦しまずに済んだのに。


“好き”のせいで、余計に辛くなる。