私だけじゃなく、瑛美も桜も恋をしている。
皆、切ない恋を抱えて、笑ってる。
たとえその気持ちが想い人と交差することはないと、平行線のままだと、感じていても。
いつの間にか、「気になる」が「好き」に、「好き」は「大好き」になって、夢を見始める。
現実と妄想と予感の中間地点で、もがいて悩んで思ってる。
嫌いになれたら、あの日に戻れたら。
絶対にできないことほど、強く。
多分ね、恋をした乙女は、
苦しくても、涙が溢れても、どうしても求めてしまうんだ。
――好きな人の愛を、ひたすらに。
「……うん。私も、叶えたい」
小さな笑みを浮かべながら、呟く。
桜の包み込むような雰囲気と瑛美の真っ直ぐすぎる意思が、私の中の憧れる気持ちを圧倒させた。



