「桃葉は、本当に矢畑くんのことが好きなんだね」
桜の少し高めの可愛らしい声で紡がれた言葉が、ふわりふわりと泳いで、私の元まで運ばれる。
柔らかく微笑んでいる桜に、私は瞳を潤ませた。
……っ、う、ん。
うん、大好き。
嫌われても、千のことが好き。
泣いてしまいそうになって、唇を噛み締める。
声を出す代わりに、何度も頷いて、頷いて、頷いて。
桜と瑛美に、私の素直な気持ちを送った。
「あたしもね、初めてなんだ。芹沢が好きって気持ち。二人と同じ、初恋なの」
瑛美の瞳が、キラリと輝く。
「ねぇ、桃葉、桜。……あたし達の初恋を叶えよ?」
初恋は叶わないものじゃなく叶うものだと、証明しよう。
――それは、私達の目標であり、友達からのエール。



