件名:大好きな君へ




将来の夢、か……。


今は――。



「将来のこととか、考える余裕ないかな」



目の前のことで、精一杯だ。


千のことで、恋愛のことで、頭がいっぱいだ。


今の私にはまだ、未来を思い描くことすらできない。



「何その、仕事も家庭もうまくいかずに追い詰められているサラリーマンみたいな発言」


「例えがわかりにくいよ、瑛美」


「ていうか、どうして例えたのかわからないんだけど」



呆れた様子の瑛美に、私はアップルティーを飲んで戸惑いをごまかす。


瑛美には、何でもお見通しらしい。


私が今考えていることを言い当てられるような顔してるもん。



「矢畑くんにさらに嫌われたかもしれないからって、落ち込みすぎだよ」



やっぱり、当てられた。


……落ち込まない方がおかしいよ。


好きな人に避けられることの辛さがわからないから、軽く考えられるんだ。