チラッと、目を少しだけ動かして、千を見る。
千は芹沢と矢崎と一緒にいて、“いつも通り”の千だった。
何も、変わってない。
ただ、私を避けるようになっただけ。
それだけなんだ。
私がこんなにも千を想っていることも知らない千にとって、
私が間違いメールを送ったかどうかなんて関係なしに、私の存在はどうでもいいのかな。
だから、変わらずに過ごせるのかな。
……だとしたら、私はバカだ。
期待していた。勘違いも甚だしい。自意識過剰だった。
私と一緒に帰ったことも、優しくしてくれたことも、名前を呼んでくれたことも、頭を撫でてくれたことも。
全部が、もしかして私を特別に想ってるから?と、一ミリだけ考えていた自分がいた。
「はぁ……」
……そんなこと、ありえないのに。
沈んでいく吐息から、自分の運と幸せが逃げていく。
千が私を特別視するわけないよね。私って本当にバカだ。