期待ばかりが募る私の、前を見つめる瞳が、千を捕まえた。
ヌマセンの用は終わったらしく、千は教室に戻ろうと、私のいる方向に廊下を歩いていた。
千の視線は、一瞬だけ私の視線と重なると、すぐに落とされた。
「せ、千、あのね」
一歩ずつ近づいてくる千に、私は話しかける。
徐々に距離が縮まっているはずなのに、逆に遠ざかっていくと思うのはなぜ?
「昨日送った二通目のメールは……違うの」
「……」
「あれは、間違いで」
「……」
「本当は……!」
「何が、」
「え?」
千の低い声が、耳を突き刺す。
必死に誤解を解こうって、メールのことは間違いだって言おうって、メールの誤送信だと伝えたら千と練習試合について喋ろうって、思っていたけれど。
いざ千を目の前にすると、怖くなって、口が思うように動いてくれない。



