「………そう。春からずっとね。……眼鏡かけた途端に意識してくれるなんて、現金にも程があるよ……」


少しむくれたような俊が珍しく、泉美は少し可愛いと思ってしまった。


けれど同時に、そんなにずっと自分を想ってくれていたということに、言いようのない喜びがわきあがってくる。


「篠宮先輩……確かに始まりは、眼鏡をかけた先輩への一目惚れでした」



「…………」



静かに言う泉美の言葉を、俊は真剣な顔で聞き入れる。


「……でも、多分、今は違います」


「………え?」



そして微笑みながらそう言った泉美に、俊は惚けたように目を見開いた。


「…楽しそうに本を読んでる先輩も、いつも図書室で私を待っててくれた先輩も、私を助けてくれた先輩も、全部、今では私の大好きな先輩なんです」


「……瀬野……さん」



「私は、先輩の全部が好きです!」



少しはにかみながらも、そう言い切った泉美。


その頬がまたさらにじわじわと染まっていくのが、愛おしくてたまらない。



俊は目の前の小さな体を、力いっぱい抱き寄せた。


「っきゃ!////」


「………本当に、もう……どうしていいかわからないな………」




泉美の肩に額をのせて、切羽詰ったような声で呟く俊。


「篠宮先輩………?」


「毎日、毎日、………君が可愛すぎて困るよ………//////」



「ぇ……えぇ!?////」


泉美の体が一気に熱を帯びる。

これ以上ないというくらいにゆであがっていたはずなのに、俊の言動が泉美をくらくらさせる。