ガラにもなく、嬉しくて嬉しくてたまらない気持ちになるのは、仕方の無いことだと言える。


そんなことを考えながら、飽きることなくただひたすら愛しいという想いを込めた視線で泉美を見つめる。


すると泉美は、頬を桜色に染めながらも、小さな口で俊に話しかけた。


「あの……篠宮先輩」


「なあに?」


甘さをたっぷり詰め込んだ返事に若干戸惑いながら、泉美は百合に聞いた話を聞いてみる。


「篠宮先輩が、中学の頃は眼鏡かけてなかったって聞いたんですけど……そうなんですか?」


「…………………」



ニッコリとしたまま固まる俊に、泉美は焦る。


(え、ええ!? なんか聞いちゃいけないことだったのかな!?)


笑顔のまま動かない俊に、泉美はいまさらながら焦る。


あわあわしている泉美を見ながら、俊はふうっと息を吐いた。


もう何もかも言ってしまおうか。

この、愛しくてたまらない彼女に。


何も知らないまま、きょとんとした愛らしい顔で自分を見つめる泉美。


その顔を見ていると、少しだけ、ほんの少しだけ、俊の中のいたずらごころが顔を出した。


「うん。実はね、コンタクトだったんだよ」

「そ、そうなんですか!」


驚いたように目を瞬く泉美に、俊は笑ってうなづくと、続ける。


「でも、好きな人ができてね」


「、え……」



「その人が眼鏡が好きだって知って、眼鏡をかけることにしたんだ」


「……そ、うなんですか……」