教室に戻る途中、廊下で壁にもたれコタちゃんが通り過ぎるのを待つ。



あたしは…スマホをいじり、さも数分前からそこにいました的な態度をとる。



階段をおり、やっとあたしの近くにやってきたコタちゃん。



目線を上げ、コタちゃんの姿を確認。



だけどあたしに目もくれるでもなく…素通りだ。



ここにいるのに、気づかない?



あたしは空気か!



廊下にはほとんど生徒はいないし、いくらなんでも気づくでしょ。



あたしたち、幼なじみなのに。



「あれ~、綾瀬くんだ。ひとり?珍しいね」



コタちゃんは、いつも誰かと一緒にいる。



それは男の子だったり、ふたりっきりじゃないけどグループの女の子とだったり…。



そして、あたしの口からは違和感ありありの、“綾瀬くん”って呼び名。