「もう教室に戻って大丈夫よ~。授業始まってるから静かにね」



「はい」



ふたりで保健室を出る。



窓に映った自分の姿を確認して絶句。



鼻にティッシュ。



こんなのコタちゃんに見られたら、お嫁に行けない…。



「笑わないんだ?」



鼻を指差し葉山くんをチラリと見るけど、それをネタに笑う様子もなし。



「笑った方が気が楽になるなら、笑うけど」



そして、柔らかい笑顔を見せる。



「笑われたくない…」



「うん、だったら話題にしない」



「ありがとう。それと、シャツ…汚しちゃってごめんね」



「全然いいって。その気持ちだけで」



すんなり許してもらえると、どう償えばいいのかわからない。



もう、これ以上なんて謝っていいのやら。