「そこは、コタちゃんが言ってくれればいいよね」



「自分で頑張れよ。俺を勝ち取ったんだろ?」



うっ。



柴ちゃんが余計なこと言うから。



まさか、こーいうときに使われるなんて。



「とにかく、川はやめよ?あそこ危ないんだって」



「危ない?」



「去年もケガ人でたみたいだよ、だから…」



「ちょ、待てよ。あいつら、大丈夫かな」



途端に、コタちゃんの表情が険しくなる。



「男の子も何人かいるんだよね?きっと大丈夫」



そう言いかけたとき。



「先生ーっ!!早く来て下さい。末永さんが川の近くで滑って…血が止まらなくて……早く救急車をっ」



え…。



体中から、血の気がひくのがわかった。



あたしが次の行動を考えるより早く、コタちゃんは川のある方へと走りだした。



暗闇に消えて行く背中を…あたしは、ただ見つめていることしかできなかった…。