「峰葉は寂しい気持ちもあるんだと思うよ」


神凪さんの家の廊下。

神凪さんは私を連れ出して、小声で言う。



「住むのはちょっと……。家族もいるし」


「1ヶ月だけ俺んちに住めば?」

「1ヶ月?」

神凪さんは耳のピアスをイジりながら笑う。


「そっ。1ヶ月」

「……親になんて言うか……」


「面倒くさいね、家族なんて」

「え?」


神凪さんはぼそっと、そう呟いた。