でも。
「あれのせいで寝不足だったんですけど」
『僕らは『神経衰弱』なんて病気くらいしかしらなかったから、
つい楽しくなっちゃったんだよ。
ね、燈桜。』
この男の子の妖怪は『歩積(ほづみ)』。
こちらもまた美しい笑顔で話す。
「本当に君ら妖怪のせいで私の人間的な生活がままならないんですけど!」
『知らないよ』
けろっとした顔で言う歩積。
『私たちを無視できない七波が悪いわ』
トランプを並べながら神経衰弱の準備(はまっちゃったらしい)を始める燈桜。
「だって………………
だって視えちゃうんだもん!」
折原七波(おりはらななは)。
残念ながら普通じゃない高校二年生。
妖怪が視えます。