「蘭は視える者として、最上級の力を持っている。


君に分かるかね?

他の人に見えない物をはっきり見てしまう苦悩。

妖怪は邪魔な生き者だ。
我々人間に害しか与えない。

蘭の力は、奴らを滅ぼすのに向いている」


道元さんは笑みを浮かべたまま、
本当に楽しそうに話す。


そんなこと言わないで。


「妖怪は人間と同じだよ」


私は、はっきりと。

目の前の恐ろしい人に言う。



「妖怪は、心を持ってる。

確かに、悪霊みたいな悪い妖怪だっているかもしれない。


でも。

私が知り合ってきた妖怪たちは。

いつだって互いを思いやって、
優しい妖怪たちばかりです。


自分たち人間のことしか考えないで、
平気で殺しを出来るあなたのほうが、

私は妖怪よりも、よっぽど恐ろしい」