「蘭は、道元家の汚れ仕事を全て、させられてたんだ」


深月くんは苦しそうな顔で、そう言った。


「………じゃあ、柊木蘭が妖怪殺しをして回っているのは、自分の意志じゃないってこと?」


「たぶん。
俺や凛ちゃんが、人質にされてるんだ」

「凛ちゃんはずっと目を覚まさないの?」


「うん。医者には、もう諦めたほうがいい
って言われちゃった」

つらそうな笑顔を見せる深月くん。


だから、柊木蘭は妖怪を殺したあの時、
元気がなくなったんだ。

殺しを始めたのは、自分の意志じゃなかったから。