「みなさん、今日からお友達になる、
葉折深月くんです」
「葉折深月です。よろしくお願いします。」
パチパチパチパチーーーと新しいクラスの子たちは俺を歓迎してくれた。
「深月くん、よろしくね」
「深月、よろしくな」
休み時間、みんなが話しかけてくれる。
その時。
「…………あ」
みんなの輪の中に、明らかに人じゃないもの、妖怪がいた。
口しかない、のっぺらぼうのような男の子。
「………?どうしたの?」
誰かに聞かれる。
その妖怪も、俺に握手を求めていた。
(どうしよう)
そう思った時だった。
「握手してやれ」
誰かに耳打ちされる。
「え………?」
「大丈夫だよ。そいつはいい奴だ」
俺に向かって笑いかけたのは、蘭だった。