って、こんな事考えてる場合じゃなかった。
「ちょっと走ってたら道に迷ってしまって。歩いてれば誰かに会うかもって思って歩いてたらみなさんがいて。ちょっとだけ話聞いてたらこの人が急に近づいてきたんです。」
灰色男を指さす未戸香。
男子全員が一斉に灰色男に冷たい視線を送る。
「やっぱり洸、なんかしたんだ。」
「あれだけ女の子には手荒な真似はするなって教えただろ!」
「はぁ。さすがと言ってもいいね、これは。」
「ちょ、ちょっと待ってみんな!俺マジで何もしてませんって!!成海未戸香、誤解されるようなこと言うなよー…」
周りにいた男子から一斉に責められ、捨てられた子犬みたいな目で見てくる灰色髪男。
「ご、ごめんなさい!何もそれてませんから。」
「ほんとか?」
金髪男視線が灰色男を疑いの目で見ている。
何も喋らなくてもそこにいるだけで威圧的な存在感を感じる。
