「もしかして、黒蝶の話を盗み見してたの?」
え?こ、こくちょう?
1歩づつ近づいてくる男子。
目を離したくても彼の目に捕まったみたいに離す事が出来ない。
こ、来ないで。
来ないでー!!
ついに背中が壁に触れる。
脚に力が入らずへたりこむ。
「聞こえてるよね?なんで答えてくれないの?」
「あの…」
もう逃げられない。
そう思った瞬間、
「洸、そこまで。怖がってるじゃんその子。」
廊下の先から、黒髪で身長が高い、優しそうな雰囲気の男子が歩いてきた。
それを見るやいなや、『洸』と呼ばれた男子はお腹を抱えて笑いだした。
