美穂のことを考えていたらいつの間にか夜が明け、朝を迎えた。
結局一睡も出来ないまま家を出ることに。
「待ってお姉ちゃん!」
「あれ、まだいたの?」
いつもは先に家を出ている乃戸香があたしのあとを追って走ってきた。
今日は寝坊でもしたのかな。
同じ時間に家を出るなんて珍しい。
「一緒に学校行こ!」
「あーごめん。今日は駅前通るの。少し遠回りになるけど…」
「いいよ!」
中学以来かも。
乃戸香と一緒に学校へ行くの。
「お姉ちゃん、姫さんやってるって言ってたじゃん?」
「うん。」
「楽しい??」
「んーものすごく楽しいよ。姫になって良かったもん。」
「そっか♪」
他愛ない話であっという間に時間が過ぎる。
と、なにやら乃戸香が携帯をいじって誰かとLINEをしているみたい。
気になりつつも見ないフリをした。
「あ、お姉ちゃん私ここでバイバイだっ!」
「ここで?」
学校までまだ遠いこの場所。
バイバイするには早すぎるんじゃ、と思ったけどどこで別れるかなんて乃戸香の自由。
「学校でね!」と手を振る乃戸香に手を振り返し、未戸香は美穂のいる駅前まで走った。
