翌朝、いつもより少し早く家を出た。
うっすらとほっぺが赤いことに気づかないまま学校へ向かう。
上靴に履き変えようとしたとき、陽一くんの外靴を見つけ心臓がドキッとした。
教室に行ったらいるんだ…
…どう顔を合わせたらいいんだろ。
結局なんであの場にいたのか教えてもらえなかったし、キスしたこともあやふやにされちゃった。
今更ながら、自分がしたことに対して罪悪感でいっぱいになる。
麗華さんには会わないように。
と願いながら教室に向かう、があたしの声は天には届かなかったらしい。
ちょうど教室の前に陽一くんと話す麗華さんがいた。
なんでそこにいるの!
通れないじゃん!!
よりによって陽一くんまで…
絶望に似た光景が視界を埋める。
どうしよ…教室に入れない。
はぁ…早くどいてくださぃ。
階段の物陰から様子を窺う。
と、「未戸香?なにしてるの??」とタイミング悪くあたしの名前を呼ぶ、美穂。
「しーっ!!」
「え?」
「だからしーっだって!!」
「なんで??」
仕方なく美穂の腕を掴み隣にしゃがませる。
少し長くなるけど説明しようとした時、
「未戸香ちゃん?」
声がして振り返る、と一番見られたくない人があたしを見下ろしていた。
隣には陽一くんの姿も。
…気まずい。
なんで陽一くんまで来ちゃうかな。
昨日のこと忘れちゃった?
