「あ、もしかして…お母さんが情緒不安定になったのって…」 「そう。太陽が死んだのが原因。」 だからあんなこと言ってたんだ。 原因は自分にあるって。 今でも責めてるんだ、自分のこと。 自分勝手すぎるよ。 子供が死んで苦しいように弟を亡くした陽一くんだって苦しいはずなのに。 「辛かったよね、きっと。」 「うん。ものすごくな。」 沈みかけていた夕日が海の向こうへと消えていく。 すすり泣く未戸香の声は、波の音によってかき消された。