窓を開け、見えた景色に思わず『わぁ!』と声が出る。
一面に広がる青い海。
永遠と続く海の広さに釘付けになる未戸香。
「疲れたー…」
別荘に到着し車から降りると2人揃って体を伸ばす。
「乗ってるだけでも疲れるね。」
「だよねー。でも本番はこれからだよー♪」
ほどなくして黒のヴォクシーが到着。
陽一くん、洸くん、梓先輩と遥先輩が降りてきた。
あれ、楓くんがいない?
降りてきたのは4人だけ。
やっぱり楓くんは乗っていない。
「やっぱり海の近くはいいね。」
「あの梓先輩。」
「ん?なに?」
「楓くんは来てないんですか?」
楽しい雰囲気が一瞬凍りついたように冷たくなる。
えっと…まずかったかな。
なんでこんな空気になるの。
答えるどころか誰も目を合わせてくれない。
静まりかえる空気のなか、梓先輩が口を開く。
「楓は海が嫌いだからね。こういう場所には来ないんだ。」
「…そうですか。」
