──7月20日
午前6時12分。
清々しい朝を迎えた今日。
未戸香は迎えに来た車に乗り込む。
「おはようございます、よろしくお願いします!」
「おう!」
今日から美穂の別荘に一泊二日の旅行に出掛けます!
夏休み前、美穂の案で海の近くにある別荘にみんなで行くことになった。
短い旅行だけどいっぱい楽しもう!
運転手をするのは美穂の10個上のお兄さん。
桜ノ宮高のOBながら元黒蝶のトップ。
今は大学院生で東京の名門大学院に通っている。
「姫って大変でしょ?」
「そうですね、楽な立場ではないです。」
拉致られたりカンニング仕組まれたり…。
「でも楽しいです。美穂や陽一くん達がいるんで。」
「未戸香ちゃんはいい子だね。美穂とは大違い。」
「はあ?私だっていい子だし!」
助手席に座っていた美穂がムキになって言い返した。
兄妹か…いいな。
あたしと乃戸香は双子だし、年の離れたお兄ちゃんお姉ちゃんとか欲しかったな。
そしたらこんな風に会話できたのに。
車に乗って何時間経ったのだろう。
うとうとしていると、『目的地まであと──』というカーナビの声が聞こえて目が覚めた。
