そのまま私は泣き続けて寝てしまったようだ。

窓から日差しが入ってくる。
「ん…もう、朝か」
こんなによく眠れたのは久しぶりだった、今までは怯えていたから。
クロと一緒に寝てたのかな。
温かいな。
手まで握ってくれて。
……………
……手!?
「キャァァァァァァ!!!」
バシッ!
「痛っ!!」
あっ!とっさに叩いてしまった!
なにもされて無いよね…?
「おはよう、ミケ」
その人は叩いたことを怒ることもせずにそう言った。
そういえば、名前聞いてないような…
「あの…名前…」
そうおずおずと尋ねると
「俺の?あぁ、言ってなかったっけ?俺は黒澤大和、大学2年生。大和って呼んでくれ」
大和も猫みたい…
そのとき、私の頭の中でクロと大和が合体した図が浮かんだ。
「アハハハハッ!」
笑いをこらえきれなくなってしまった。
「おいおい、人の名前聞いて笑うとか失礼な」
ハッと我に帰る。
「ご、ごめんなさい」
そう言うと、大和はふっと笑って
「いいよ、ここに来て初めて声出して笑ったな」
と言った。
あれ?私、今ちゃんと笑えてた?

そのあと、大和が作ってくれたお昼を食べた。
「俺、これから大学だからクロのことよろしく」
と言いながら大和は玄関で靴を履いている。
「い、いってらしゃい」
思わずそう言うと、大和は優しい声で
「いってきます」
といって出て行った。

ここに私は居てもいいと思えることは、なんて幸せなんだろう。