何故、とそんな言葉しか浮かばない。
何故彼なのだ、なぜピンポイントで彼なのだ。
はじめまして、と挨拶してくる彼には見覚えしかない。
が、そんなことを言えるはずもなくはじめましてをいう。
それじゃあ私はここで、と言うのを陽くんに引き止められる。
「千聖がよければ俺んちで飯食ってかねえ?」
私の意思は何処へ。
どうか断ってくれ、と思いながらもニコニコと笑顔を作ると同じく笑顔を作る彼と目が合う。
「じゃあ、お邪魔させてもらうよ」
と、私の思いをわかっているはずなのに踏みにじった彼は私の高校生時代の元彼だ。
私は彼のことが大好きだったし、彼のおそらく私のことを愛していた。
だけど私たちは別れた。
もう過去の話だ。