あたしと続は教室の中の机を移動し、葬儀場に参列していた。


千鶴はさっきの場所から一歩も動かずまだ何かを呟きながら震えている。


あたしと続は何もない場所でお焼香を済ませて、葬儀を終わらせた。


ここは最悪な教室で、リンちゃんの遺影もなにもないのに、自然と涙があふれて来た。


あの日もあたしは泣いていた。


自分のせいでリンちゃんが自殺してしまったと思っていた。


でもあれは何も知らない涙だった。


リンちゃんは自殺じゃない。


殺されたんだ。


そう理解した今、あたしの涙はあの時よりももっと激しく、そして重たいものになっていた。


焼香を終えた続がバスに戻って行く。


あたしは涙をぬぐい、それとは逆へと歩き出した。


あの日、あたしはバスに戻る前に千鶴に呼び出されたんだ。


人気のない場所へ移動したあたしは千鶴にこう言われたんだ。


「あたしのいう事を聞いていればターゲットにはしないから」


と……。


それがなにを意味しているのか、聞かなくてもわかっていた。


千鶴はこれでイジメをやめるつもりなんてなかったんだ。