信じられなくて、あたしは千鶴から離れて後ずさりした。


千鶴は倒れたままうずくまり、泣き始めた。


「最低だな、お前」


続の冷たい声が千鶴に降り注ぐ。


「まさか、リンちゃんが死んだのって……」


そこまで言ってあたしは口を閉じた。


あたしたちはみんなリンちゃんは自殺だと聞いていた。


地上120階の高層ビルから飛び降りたため、遺体は原型を止めていなかったと聞いていた。


でも、それが嘘だったら?


千鶴の親なら高校生1人の死をでっち上げるくらいできるかもしれない。


それを利用して、リンちゃんが川で死んだ事を隠していたとしたら?


そしてあの日の昼休み。


リンちゃんが死んだ本当に理由を知っている信一と真の2人が、何かに耐えられなくなって喧嘩を始めたのとすれば……?


すべてのつじつまが合う。


信一と真の喧嘩はリンちゃんの死。


だから喧嘩をしながらも言葉を選び、周囲に悟られないようにしていたんだ。