ここへ連れてこられてから急速に続に惹かれていることは確かだけど、それまでに続を好きだと感じたことはない。


極限状態だからこそ感じられる恋愛感情なのだと、自分自身が一番よくわかっていた。


「信一……ごめんね」


千鶴が鼻をすすりながらそう言った。


「いいんだ。真だってそうしたんだ。俺だってそうするのは当たり前だろ」


信一はそう言い、真を見た。


2人はライバルだったはずなのに、協力して千鶴を守っている。


たとえ《リプレイ》が続いて行っても、少しでも長く千鶴が生きられるように……。


そこまで考えて、あたしは違和感を覚えた。


それは一番2度目の《リプレイ》の事。


2人はお金の貸し借りで喧嘩をしていたけれど、本来はそんな事で喧嘩はしていなかった。


だとしたら本当の喧嘩の理由はなんだったのか?


千鶴の取り合いであるならば、別に隠す必要はない。


2人が千鶴を好きな事はみんな知っていたのだから。


実際の教室でも喧嘩の理由がはっきりとはわからなかった。


それは、喧嘩をしながらも2人は周囲を気にして言葉を選んでいたからじゃないだろうか?


たとえば……千鶴の印象が悪くなるよう事を知っていて、それを話しあっているうちに喧嘩になってしまったとか……。