あの時千鶴と有紀はずっと会話をしていたような気がする。


体育の授業は休んだ方がいいとか、無理せず帰った方がいいとか。


どれもあたしを心配してくれている会話だった。


でも、どのタイミングで起きて教室に向かったのかがわからない。


そうしていると、人の気配を感じてあたしは目を開けた。


そして、目の前に立っている人物に思わず「えっ……」と、声を出してしまった。


あたしを見下ろすようにそこに立っていたのは、信一だったのだ。


「そろそろホームルームが始まるから、迎えに来た」


信一が優しい笑顔を浮かべてそう言ったのだ。


もちろん、実際には信一は迎えに来たりはしていない。


あたしが倒れたことだって、今初めて知ったはずだ。


「どうし……!」


「ほら、早く」


千鶴の言葉を遮り、信一は歩き出した。


あたしは慌てて起きて千鶴と2人で信一の後を追って教室へと向かった。


信一は自分の身をていして千鶴を守るつもりなんだ……。


あたしは信一の後ろ姿を見てそう思った。


そして、今回の《リプレイ》は終わったのだった……。