それからあたしたちは交代で換気扇の穴から外へ向けて叫び続けた。


出ない声を振り絞り、できるだけ遠くへ届くように声を出す。


窓から下を見下ろしてみると、人が小さな点くらいにしか見えなかった。


行きかう車も小指の先で完全に隠れてしまう。


これじゃ声が届く可能性なんてほぼゼロだ。


だけど、100%無理という事ではない。


さっきまで泣いていた千鶴が机の上に乗り、懸命に叫んでいる。


きっと大丈夫。


希望さえ捨てずにいればあたしたちは助かる。


数分間叫んだ千鶴からノートを受け取り、机の上に上がろうとした時だった。


《それではこれより、次のリプレイを初めていただきます》


そんなアナウンスが聞こえてきて、あたしは動きを止めた。


全員がスピーカーに釘付けになっている。


「嘘でしょ……」


千鶴が信一の腕を掴む。


「まだやるのかよ……」


続がそう言い、奥歯をかみしめた。