ただ1つ思い出したのは……真が信一に殴りかかろうとするのが見えて、あたしは咄嗟に席を立って走っていた。


そう。


あたしはこの時なにも考えず、2人の間に割って入ったんだ。


特に仲が良いワケでもないのに、暴力に反応してしまったんだ。


そして真があたしを突き飛ばし、あたしは床に投げとされてしまった。


体のあちこちが机にぶつかり、顔をしかめる。


昨日のお昼もたしかこんな感じだった。


それらを始めてみる続は驚いたように目を見開き、何かを言いかけて口を閉じた。


昨日の昼ここにいなかった続が口出しをすることはできない。


あたしは何とか体を起こして2人を見た。


2人の間には千鶴が入っていて、そのことで2人の喧嘩は収まったのだ。


2人が千鶴の事を特別視していることは知っていたけれど、ここまであからさまな差を付けられたことにあたしは憤りを感じていたのだ。


あたしは腕をさすりながら机に戻り、友人たちに心配されたことを思い出した。


《それでは今より、リプレイの正確性を採点していきます》


スピーカーのそんな声に、あたしは大きく息を吐き出したのだった。