一旦学校から出たハズなのに、どうして教室に戻ってきているんだろう?


わからなくて、有紀の手を握る力が自然と強くなる。


と、その時だった。


「ちょっと、ドアが開かないんだけど!」


と言う千鶴の声が聞こえて来た。


見ると、千鶴は引き戸に手をかけているものの、そのドアはびくともしていない。


その様子を見て真と信一がすぐに動いた。


「鍵がかかってるのか?」


真がそう言い、千鶴の代わりにドアに手をかける。


しかし、やはりドアは開かない。


「まじかよ」


信一も加わって力を込めてみても、全く動く様子はない。


「こっちも閉まってる」


そう言ったのは続だった。


続はみんなとは別の教室前方にあるドアをあけようとしているが、そちらも開かないようだ。


「それなら、窓から出るしかないね」


有紀がそう言うと、信一が呆れたように「生徒が残ってるのに鍵なんてかけやがって」と、呟いた。