続が有紀に駆け寄り、腕に浮かんでいる×印を両手で押さえつけた。


しかし、×印はそれを跳ね返すように勢いよく弾けた。


続に血しぶきがかかり、真っ赤に染まる。


「誰か助けて!!」


千鶴が叫びながら窓を叩く。


それを見ていた真が椅子を持ち上げて窓を叩き始めた。


しかし窓は割れる所か傷1つつかない。


あたしはドアへと向き直り力を込めてあけようとした。


けれどやはりドアは開かない。


必死になって蹴飛ばしてみても、びくともしなかった。


教室中が悲鳴と混乱に包まれる中、有紀が静かになった。


床に寝そべったまま白目をむき、ピクリとも動かない。


「嘘でしょ!?」


あたしは叫び、有紀にかけよった。


脈をはかろうと思ったが、有紀の体はどこもかしこも傷だからけで掴む事ができない。


耳を有紀の鼻に近付けてその呼吸を確認してみたが……有紀は呼吸をしていなかったのだった……。