「有紀、これなに?」


「え?」


有紀が自分の手の甲を見て、キョトンとした顔になる。


薄く線を引いたようなそれはどんどん濃くなっていき、×の形になっていく。


「やだ、なにこれ!?」


有紀が怯えて自分の手の甲をこする。


すると×印のマークにそってパンッ!と皮膚がはじけたのだ。


有紀の悲鳴が響き渡り、手から血がほとばしる。


千鶴がその場から離れ混乱した悲鳴を上げる。


信一と真が崩れ落ちそうな千鶴を支えている。


続が悲鳴に近い声で何かを叫んでいる。


みんなの声がかき乱れで、誰が何を言っているのかわからない。


あたしは唖然として声も出せなかった。


有紀の手の甲は×の形に大きくえぐれてしまい、骨が見えている。


床に転げまわる有紀の体に、×印が次々と現れ始めてあたしは思わず後ずさりをしていた。


×印は体中を埋めつくし、そして順番に弾けていった。


有紀と血と肉がそこら中に飛び散り、その度に有紀は絶叫上げて苦しんだ。