そうしている間に、机の間に倒れていた綾野真(アヤノ マコト)、久世信一(クセ シンイチ)、冨坂続(トミサカ ツヅキ)も目を覚まして起き上がり始めていた。


全員2年A組の男子生徒だ。


「とりあえず、あたし帰るから」


千鶴がそう言い、ドアへと向かう。


「そうだね……」


あたしは頷いて立ち上がった。


なにがなんだかわからないけれど、いつまでも教室にいるわけにもいかない。


あたしは埃のついたスカートをはらい、有紀の手を掴んで立ち上がらせた。


体はまだ少しフワフワと浮いている感じがするけれど、歩けそうだ。


男子たちは周囲を見回してキョトンとした表情を浮かべている。


「ねぇ奏、あたしたち一体何をしてたんだっけ?」


有紀にそう聞かれ、あたしは首を振った。


「全然思い出せないんだよね。今日は普通に授業をしてそのまま帰ったと思うんだけど……そこから先の記憶が抜け落ちてる」


「あたしもそう。家に帰ってる途中からの記憶がないの」


不安そうな表情でそう言う有紀。


どういう事だろう?