再現教室~死のリプレイ~

信一はそう言い、眉を寄せた。


あたしには信一の言う胸騒ぎがよくわからなかったけれど、こんな状況じゃ仕方ない事だ。


時計に目やると、長針は20の所まで動いている。


あと10分で《リプレイ》というやつをやらなきゃいけない事になる。


あたしは今日の放課後に何があったかを思い出していた。


帰りのホームルームが終わった後、あたしは有紀と今日出た課題についての話を少しだけして、そのまま教室を出た。


教室から出る事はできないだろうから、会話をしたところまで再現すれば大丈夫だろうか?


あたしは振り向いて有紀を見た。


有紀はぼんやりと外の景色を眺めている。


確か、有紀はあたしと課題の話をした後、他のクラスメートに呼ばれて何か話をしていたっけ。


あたしのようにすぐには帰っていないはずだ。


でも、そのクラスメートたちは今ここにはいない。


そういう場合はどうするんだろう?


1人でも、みんながそこにいると仮定して再現を進めたほうがいいのだろうか?