先に玄関を出たママの後を追って、彼も続く。 「じゃあ……いってきます」 「あ……はい。いってらっしゃい」 たったそれだけの会話で、どうしようもない程のドキドキが生まれてくる。 ビシッと決まった濃いグレーの後ろ姿に、見とれてしまいそうになる……。 「……あ、そうだ」 出ていく間際、小さな声でそう呟いた彼は、まるで兵隊のようにクルリとこっちに向き直った。 ……まさに不意討ち。 目が合ったとたん、心臓が更に大きく跳ね上がる。