夕方、一志に送ってもらって家に帰ると、玄関の鍵が開いていた。 てっきり2人もバレンタインデートにでも出かけていると思ってたんだけど……。 「ただいまー……」 リビングの扉をそっと開ける。 すると、珍しくタバコの匂いが漂ってきた。 ほぼ同時に目に入ったのは、リビングのテーブルでひとりタバコを吸いながら新聞を読んでいる彼の姿。 あたしが入ってきたことに気付くと、一瞬だけこっちを見て。 「おかえり」 いつもよりも若干低く聞こえる声でそう言うと、再び視線を新聞へと戻す。