結局その日は、チョコ作りにも集中できなかった。 何も気にしない素振りでレジを済ませ、梨花子の家へ向かったものの、 完成したのは、黒こげのガトーショコラ。 自分でもよく分かるくらい、あたしは動揺していた。 偶然の再会。 変わらない笑顔。 そして、ごめんと言った時の切なそうな表情。 何も変わっていない。 変わったのは……名字だけだ。