あの時だって、本当のことを言ってくれていれば、力になれたかもしれない。 そばにいて、 支えることくらいは、できたかもしれない――……。 「――堤くん、それ終わったら、次こっち頼む」 「はい」 現場のチーフらしき男の人が一志を呼び、一志がそれに笑顔で応える。 『堤』くんか……。 その言葉も、 ネームプレートに書かれた文字も、全然見慣れない。 『堤 一志』 それは……あたしと別れた後の一志の名前だから。