〜3〜





ジルが、そんな願いを密かに祈るその時。

一人先に廃墟の中へと入ったアスラは、ゆらゆらと蝋燭の灯りが揺らめく長い廊下を歩いていた。



廊下と言っても、中はボロボロで壁も崩れさり、道も部屋も区別なんてつかないのだが。






「はぁ....疲れた」



誰も居ない静かの廊下で、アスラはグッと伸びをして疲れた身体を擦った。






「───最近、奴等しつこくなったからな。
捕まりはしないが.....めんどくさいな」



アスラはそう呟くと、一つ溜め息をつく。

その溜め息はよりアスラの疲れを増幅させ、少し足が重くなった気がした。








キイィー.....。


疲れたその足を、無理矢理に前へと運び、アスラは廃墟の奥の方にある未だ何とかまともに機能する扉を軋ませながら開いた。




ボロボロの廃墟。
その中でも、数少ないまともに区切られている部屋だ。






「────ふぅ」



アスラは、身体に溜まった疲れを吐き出すように大きく息を吐く。

そして部屋に備え付けてある、簡単なベッドのような物へと腰を下ろした。




この部屋は、この廃墟の中でのアスラの部屋のようなもの。

アスラは元々、此処に住んでいるわけでもない。
毎日、過ごすわけでもない。





だが皆のために働くアスラに、せめても.....そう言うことで決して広いとは言えないがアスラのためにジルが用意してくれたのである。